●Hello agein
2000年「Active」より発売のADV


ほぼ「ねがぽじ」と同スタッフで作られたのがこの作品。
とは言ってもこちらの方が古いので、こちらが初作となる。

感想を一言で言うと、やはり良作。

あらすじ等。
少し未来世界での出来事、
DAと呼ばれる認識力学が世に出始め、その存在が認められた時代、
DAを持つものが優遇される学園があった。
その名も「瀬戸際学園」。
喧嘩っ早い主人公は、前の学校を追い出されこの「瀬戸際学園」に転向する。
いつも夢に現れる女性を探すために…

やがてその女性は、絵の中の少女である事を知る。
また転校したばかりの主人公の部屋に居付く3人の女生徒。
泉本真沙魚(いずもと・まさお)
宇佐美詩歩(うさみ・しほ)
仙波由真(せんば・ゆま)
そんな個性的な3人と共に学園生活は進んでいく。

とそんな感じです。
全体を通して明るめのシナリオだったと思いました。

シナリオについて、
このゲームは全部でエンディングが6つあります。
真沙魚エンド
詩歩エンド
由真エンド
美津夜エンド
久人エンド
メインエンド

まぁそれぞれキャラクターごとにエンディングがあるわけです。
では気に入った順番からシナリオについて。

●一位 詩歩エンド
詩歩と言うキャラクターは、元気っ子、挙動不審、色気より食い気タイプな少女で、
会話なの中ではいつもボケ役と言った感じです。
キャラクターの見た目や、強制イベント中の扱いではそんなに好きになる要素も少ないのですが、
個別イベントになってからのシナリオにとても惹かれました。
このゲームのシナリオライターは「ねがぽじ」と一緒で「枕流」氏なのですが、
「枕流」氏のシナリオは元気っ子の扱いがとても巧いと言う感想を持ちました。
多分、後に発売された「ねがぽじ」の主人公広場まひるの元ともなったであろうこの詩歩のシナリオは、
普段の元気の良さ等がとても儚く見えるようなシナリオの見せ方をしてくれます。
また後のイベントの展開も面白く、綺麗にまとまっていて好きでした。

ちょっと語りたい詩歩のお気に入りのシーン。
ネタバレになる、と言うかそのまま文章を載せてしまうので
構わないという方はここを選んでね。
このシーンの文章を読んで不覚にも涙ぐんでしまいました。

●2位 メインエンド
メインエンドなので、やはり力も入っていました。
このメインエンドでは深沢操と、止鞠泉深と言うキャラについてのシナリオなわけですが、
二人のヒロインの織り成すストーリーがとても面白くプレイ出来ました。
献身的な主人公、それを受ける操、それにもどかしさを感じる泉深。
切なく、そして後味の良い終わり方でした。

●3位 真沙魚エンド
ヒロインに負けずのキャラですが、クリアしたのは一番最後でした。
3人の中でも中心、一番目立ちそうなキャラの割に一番個性の薄いキャラでもあったと思います。
しかしそのシナリオは面白く、複線のはったエンディングにも巧いなーと感心しました。
ただ、ちょっと物足りないところはあった気がします。

●4位 由真エンド
切なさ+やるせなさ炸裂。
なんか青臭いやるせなさを感じて、どうにもこうにも落ち着かなかったシナリオ。
主人公に自分が感情移入してしまう以上、やはり目当ての少女が他の男性を好き、
と言うシチュエーションはかなり辛いモノを感じます。
やるせなさに耐え切れず所々セリフをスキップしてしまいました。
一番始めにクリアしたわけですが、キャラが気に入っていただけに、
途中途中のシナリオが辛かったです。
まぁこれもシナリオの与える影響力影響力だとは思うのですが。

●5位 久人エンド
これは主人公の扱いがどうでも良くなってしまうエンドです。
誰とも仲良くならないとこのエンドになるので、言わばバッドエンドだとは思うのですが、
内容としては、メインエンドのシナリオの主人公が、
主人公の友人である久人に移ったと言う感じ。
つまり主人公は用なし。
久人と言うキャラクターには好感が持てたので、バッドエンドにしては
まぁ悪くない終わり方だったと思います。

●6位 美津夜エンド
最下位です、そんなに酷いと言うわけではなかったのですが、
どうにもとって付けたようなシナリオに感じました。
委員長みたタイプの少女で好きなタイプではあるのですが、
なんか可哀想だったな、と言う印象しか残りませんでした。
エンディングもいまいちピンとこなかったので。
でも途中途中のラブラブシーンは見てて面白かったです。

とまぁそんな感じのシナリオだったわけですが、
このゲーム…声がとても良い。
主人公の声が特に好きなのですが、
エロゲと言えば主人公に声が無いのが王道、
脇役でも男の声は下手な演技が多いと言うのが定石でしたが、
activeはそのへんが違うなーと感動しました。
ちなみにこのゲームの主人公の声は、「ねがぽじ」でもお気に入りの「透」の声でした。


次に絵について、
原画は「センキチロオ」と言う人です。
と言うか、「風上旬」氏によるモノです。
何故名前を変えているのかはよくわかりませんが。
私は根っからの風上ファンなので、絵についてはオールオッケーでした。
少し気になったのが立ちキャラの腕かな…
無駄に強そうでした。


音楽は、タイトル画面の音楽がとても印象的でした。
他は、例の詩歩のお気に入りのシーンの音楽が雰囲気にマッチしていて好きでした。


システム的にはActiveご自慢のいつもの機能で、
特に不満もなくプレイ出来ました。
ただフラグがいまいちわからなく、2回くらいバッドエンドになってしまったです。
自分が悪いんですけどね。


全体を通して、普通に遊べるADVとしてはかなりの良作だとは思うのですが、
損をしているなぁと思ったところが、エンディングです。
唐突にエンディングに入ってしまう上に、スタッフロールの曲が使いまわしなので、
ちょっと味気なかったです。
スタッフロール後に語られるシナリオも、折角だからセリフの後にタイトルに戻るのではなく、
一枚文章なしで絵が欲しいところでした。
しかし全体的に巧く綺麗にまとまっているので、
どんな方にもお勧めできる一本だと思います。


2004 02/13


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