●星空☆ぷらねっと
2000年D.O.より発売のADV


今更感想というのもアレですが、リメイク版である、「星空☆ぷらねっと〜夢箱」が近日発売されるので、
それに乗じて2度目のプレイをしましたので、感想等を。

当時のD.O.と言えば、やはり「加奈〜妹」で有名になり始めていた頃ですね。
もともと「触手系ゲーム」と言えばD.O.と言うくらいPC98ユーザーの間では有名でしたが、
ライトユーザーを迎え入れたのはやはり「加奈〜妹」の力だと思います。

そうですね…星空☆ぷらねっとはD.O.設立10周年作品と言う事でありまして、
D.O.がとても古巣だと言う事がわかりますね。
ちなみに私がD.O.で初めてプレイしたのが「星の砂物語2」でした、
当時5インチのフロッピーディスクでやっていた記憶があります。
「星の砂物語2」は探偵ゲームで、スキーに出かけた先でナイフでの殺傷事件が起こる、
と言った内容でした。

話が脱線してしまいましたが、
この「星空☆ぷらねっと」シナリオライターが「山田一」氏と言う事で、
発売前から凄く期待していた記憶があります。
ちなみに「山田一」氏と言えば「加奈」や「家族計画」等、D.O.の看板作品を手がけた、
売れっ子シナリオライターさんであります。
私も大好きで、結構文章表現等で影響されている時もあります。

でまぁ、ゲームの紹介にうつります。
あらすじ内容など。

主人公は、昔離れた故郷に戻ってくる。
そこには、幼き頃に過ごした友人達がいる。
しかし時の流れは無常にも主人公と友人達の間に溝を作ってしまう作ってしまう。
昔は近かった友人達がとても遠く感じる。
故郷に戻って1年が過ぎ、主人公はその友人達に近づこうとする。

と言ったあらすじです。
「再会からの出発」と言う所に話作りの巧さを感じます。

次にシナリオについて、
主な流れとしては、
再会→拒絶する友人→次第に心を開いていく→ED
といった感じでしょうか。
しかしこのシナリオは構成や脚本も10周年作品に恥じないだけの秀逸さを見せてくれます。

まずは文章の見せ方。
ここが最も「山田一」氏の巧い所ではないかと思いますが、
ADVゲームでシナリオに大事な部分と言えば、やはり全体的な構成に始まり、
人を惹き付ける内容…の他にもう一つ、
「飽きない文章表現」と言うのがあります。
特に長いADVゲームであればこの「飽き」こそ最大の難関。
「山田一」氏のシナリオ脚本には飽きの感じさせない文章表現が感じられます。
だから、13時間もぶっ続けでADVゲームをやっていても不快に感じないのでしょう。
(家族計画は一人あたりスキップなしでこのくらいかかります)
で、まぁ星空☆ぷらねっとも長いシナリオでありながら純粋に楽しむ事が出来ます。

特に私が興味を示したのが「藤原佳多奈」のシナリオです。
この子は…不思議少女です。
私が不思議少女好きなのは今に始まった事ではないので、このゲームでも言わずもがな、
佳多奈に惹かれて行きました。

で、この佳多奈についてのみ、つっこんで話していきましょう。

まず佳多奈は普通の人とは違う「自閉症」の少女です。
彼女は普通の世界を拒絶する事で、「完璧な模写」や「高度な演算機能」等の能力を手に入れます。
天才となんとやらは紙一重とは言いますが、普通の世界を見ている人には出来ない事がやはりあるのでしょう。
主人公は彼女を「自閉症」に追いやってしまったと言う罪の意識から彼女に近づいて行きます。
昔は叡智に輝いていた瞳が、今は知識の輝きを灯さない。
主人公はなんとかして、昔の瞳の輝きを取り戻そうとするわけです。

この佳多奈のシナリオは普通のゲームにも見られがたいとても献身的なシナリオだと思います。
「加奈〜妹」に近い感じもしなくもないシナリオでしょうか…
ただ佳多奈の見ている世界が違う。と言うことがとても巧く表現されており、脱帽でした。

徐々に佳多奈の瞳にも叡智が宿ってきた頃、悲劇は起こり。
彼女が同じ世界に戻ってきても悲劇は起こる。

絶望と希望の板ばさみにされたようなシナリオに自分がのめりこんで行く様が、
何故かとても心地よく感じられました。

と言うわけで、このゲームをプレイする際には是非「藤原佳多奈」のシナリオをプレイして欲しいです。


と、シナリオ紹介はここまでで。
他のキャラにも魅力はありますが、やはり佳多奈シナリオの異質さにはかなわないかと。
でも、他のキャラは他のキャラで普通の恋愛ADVに比べればとても秀逸したシナリオです。
このゲーム…何故評価があまりされないのかが不思議(ではないのですが)

そう、シナリオの次は絵について。
これが評価があまりされない一番の原因では無いかと。
秀逸なシナリオに比べて、この絵は…少し酷かもしれません。
(特に絵はエロゲーの売れ行きを左右する上で一番のポイント)
D.O.は昔から絵で結構損をしているメーカーなんじゃないかと良く思います。
この星空☆ぷらねっとの原画家さん(名前は知りませんが)
一枚絵の構成力や、見せ方などはとても巧いのですが、キャラクター自体が微妙。
なんで皆「乳首」立ってるのかw
しかも制服もありえない構造しています。
立ちキャラもそこはかとなく不快ささえ感じる絵。
これはちょっと…辛いかなと。
これはこれで好きな人もいるのかもしれませんし、
逆に自分的にはあまり有名にならなくて良かったと思うところもあります。
でも私が友人にお勧めできない一番の原因はこのキャラクターでしょう。
まぁ慣れればそこまで不快でもないです、逆に愛着すら湧いてくるかも。

背景や、CG塗りは悪い所はとくにありません。
屋上で月をバックにした佳多奈の一枚絵などはとても素晴らしいと感じました。

次に、システム。
一通りのADVに必要であろうシステムはついています。
が、何と言うか右クリックが使いにくい。
ここらへんもっと気合入れてもらうと良かったかなと。

で、音楽。
音楽は素晴らしいと素直に感じました。
ADVゲームとしてはなんの不服も無い音楽です。
主題歌も綺麗に決まってましたしね。

ちょっと悲しかったのが、折角サントラを買ったのに、
そのサントラが「初回限定で付いてきたサントラ」とあまり変わらなかったこと。
まぁ、一応キャラソングに2番まで入っていると言う違いは大きいのかもしれませんが。


全体を通して、シナリオでPCゲームを選ぶ人なら是非やって欲しい作品。
絵がどうしても気に食わないと言うなら、
2003年10月31日発売の「星空☆ぷらねっと〜夢箱〜」を買ってプレイしてみて下さい。
原画家さんが変わって、声も入っています。
ちなみにこのリメイク…早過ぎると思いませんか?
多分皆「原画が原因で売れなかった」と言う事に気付いているのでしょう。
ありえなかった制服のデザインも少し変わってるし…
なにより、「サーシャ」なんて別人。
でも、このカーネリアンみたいな絵は少し頂けないです…
前のに愛着湧いてる人にとってはこれはこれで酷かも。
「加奈〜妹」も原画リメイクされますしね。

D.O.のゲームは嫌いじゃないけど「売れたゲームはリメイク」ってのはちょっと許せないです。
前の買った人はどうなるねんー、と。
特に、シナリオライターチャックして即買してしまうような私みたいな人種は…


2003 10/28


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