●夢幻夜想曲
「アプリコット」より発売のADV


「三峰奈緒」氏と言うシナリオライターさんがいる。
決して有名ではないと思うし知っている人も少ないとは思うのですが、
多分彼女のシナリオを読んだら「虜」になってしまう気がします。
ええ、私は成りました。

このゲームの前は「フォアナイン」と言う会社の(もちろんPC98ですが)
「GAOGAOシリーズ」のシナリオを担当しておられました。
私のやった順番が4→2→1→3と、とても適当なのですが、
とても素晴らしいゲームであったと記憶しています。

物語に引き込む力が強かったのか、むさぼるようにプレイしていた記憶があります。
特にGAOGAO2パンドラの森、3ワイルドフォース、4約束の地カナン辺りは、
切なさと面白さと愛らしさを含めた女性的なシナリオに酔いしれました。

でまぁ前置きはこのくらいで「夢幻夜想曲」のあらすじから。

大学の休みを利用して気分転換に山登りに出かけた主人公であったが、
運悪く大嵐に出会ってしまう。
その豪雨の中を無理にでも進もうと試みた主人公だったが、これまた運悪く崖から落ちてしまう。
主人公が目を覚ますと見たこともない館の中に居た。
どこか不思議な雰囲気を感じさせる女主人、おどおどした態度のメイド、
そんな館の中で不思議な事件に巻き込まれることになる。

とそんな感じです。
夢幻夜想曲で感じた事は、
思想家や哲学家等の言葉を巧く題材にし、そこに童話や伝奇等を加えたとても素晴らしいシナリオでした。
時が止まってしまった館の中で、
主人公が風を起こし、時を動かしてくれる。
そんな女主人の願い。
時に縛られた館の住人たち。
それぞれのヒロインに1つずつのお話が用意され、
時から解放してあげると言うモノでした。
エンディングは全部で7(+2)あり、1本道のシナリオの締めくくりとして、
最後の選択肢でヒロインを一人選択してエンドと言う形式です。
何度もやり直すことがないのでとても好感が持てました。
が、スタッフロールが飛ばせないのがとても痛かったです。
個人的には女主人の「館に残る」と言うエンディングが好きでした。
時の経つ事の無い館の中で女主人とともにずっと生活すると言うモノです。
他のエンドも幸せが満ち溢れていて好感が持てました。


次にCGですが、
原画家は二人いたようです。
特に名前の聞いたことのある方ではありませんでしたが、
多少バランスの悪い絵などはあるものの、
悪くはありませんでした。
私のお気に入りはメイドさんなのですが、
そばかす具合といいツボに入ったです。
ただ変なモザイクのかけ方にちょっと不満。


システム的にはセーブ個所がもう少し欲しかったくらいで他には不満はありませんでした。


音楽は使いまわしが多かったけれど、タイトルの音楽が好きでした。


全体を通して、
やはりシナリオが秀逸であれば良いゲームと呼べる気がします。
あまり目立ったゲームでもないので、隠れた名作と言う感じ。
他のADVゲームに比べてシナリオに難しい要素が多いので、
ADV上級者向けな作品だと感じました。
しかし「三峰奈緒」氏の素晴らしいシナリオは健在だったのだなーと思うと、
次回作に期待大です。


2004 02/13


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