●sense off
2000年ohterwiseより発売のADV



otherwiseの処女作となったのがこの作品です。
とある人の紹介で購入したソフトですが、
とても意義のある良いゲームだったと思いました。

シナリオについて、
ネタバレにならない程度に紹介したいと思います。

全体的な流れとしては。
季節は春と夏の端境期…
主人公はとある事から、ある施設で生活することになります。
そこには、擬似的な学園生活と、
幼いころに離れ離れになった幼馴染の姿がありました。
その施設の名前は認識力学研究所…
主人公と少女の織成すちょっと変わった力のお話です。

プロローグを要約するとこんな感じだった気がします。
とにかくシナリオが素晴らしいゲームでしたので、
もう少し詳しく語っていきたいと思います。

始めは共通にシナリオで進んでいって、
選択肢によって個々キャラのシナリオに入ると言った感じの
オーソドックスなタイプのシナリオのながれです。
私の感想としては、
とてもタクティクス社の「ONE〜輝く季節」を思い起こさせる流れで、
主人公のボケ具合。
主人公のツッコミ具合。
毎日自分の部屋に起こしにきてくれる幼馴染。
幼馴染の口癖。
だよもん。
主人公との反りの合わない少女。
口喧嘩。
目立たない男友達。
その他…色々。
そのへんに似ているところがあると感じました。
しかし、それでもこのゲームの個性は強く、
「ONE」とはまた違った感動を与えてくれる作品であると思います。

まずは共通シナリオから…
共通シナリオで光るのはやはりギャグセンスでしょうか。
万人受けするタイプではなく、
知っている人にとってはどうしようもなく可笑しいと言った感じのギャグです。
コメディ主体で走るシナリオの中に複線をちりばめている感じです。
また時折あらわれる難しい表現にも目が行きました。
プロローグの始めのほうで流れる、
「まるで、横隔膜をなまずの髭でこすられているような感じがする」
このセリフに目が行きました。
他にも難しい語句や名前がたびたび登場することがあります。

では個々のシナリオの感想を…
ネタバレにはならないように、気をつけますのが、
少しくらいシナリオに関することも書いちゃうかもしれません…


折永成瀬…
彼女は主人公の幼馴染であり、
この施設で10数年ぶりの再開を果たします。
〜だよ、〜だもん。と言う語尾をよく使用し、
「ONE」の長森瑞穂、「TO HEART」の神岸あかり、
そういったゲームに代表される幼馴染の姿を思い起こさせました。
成瀬のシナリオで感じたことは、
ヒロイン的な役割をもつキャラクターでしたが、
シナリオもそれに見合うべく、
他のキャラに比べて壮大な気がしました。
カウントダウンの瞬間にとても臨場感が感じられ、
それゆえに読み手の感情移入がし易くなっていました。
(詳しいシーンはやって見てのお楽しみと言うことで)


埴島珠季…
主人公と会えば口喧嘩を始めてしまうような、
勝気な少女です。
「ONE」で言えば七瀬と言った感じでしょうか…
実は私が一番初めにクリアしたキャラでもあるのですが、
始めはその意外な結末に驚かされました。
(これもプレイしてのお楽しみと言うことで)
勝気の中に見え隠れする彼女の本心が、
とても心を打ちました。


真壁椎子…
内気で要領のあまり良くない女の子です。
椎子のシナリオでは、数学についてのシナリオが語られ、
もっと昔の時代にそういったことを学校の先生が語ってくれていたら、
もっと数学が好きだったかもしれません。
数学は世界を支配する。
そういったコンセプトが感じられました。
椎子のシナリオは特殊で、一部にノベル形式のADVが挿入されます。
数学者で哲学者な「ライプニッツ」の伝記なんかを読んでおくといいかもしれません。
他に感じたことは、
比較的椎子のシナリオは凄い重い事はないので、
ハッピーエンド志向で読めるかもしれません。
しかし私にとっては結構衝撃を与えたシナリオでありました。
「SENSE OFF」と言うゲームらしさが一番にじみ出ていた気がしました。
ライターさんの数学についての熱い思いが感じられます。


三条美凪…
俗に言う天然少女。
元気でボケも入る関西弁の少女です。
椎子と仲がいい設定です。
こちらも始めの二人のキャラのようなシナリオの重さはとくになかった気がします。
キャラにマッチングした悪くないシナリオでしたが、
ちょっと拍子抜けな部分もあったかもしれません…
どちらかと言うと、上記の椎子シナリオにも言えることですが、
「主人公について」と言った観点で進むように見受けられました。
そんなに悪くはありませんでしたし美凪と言うキャラは好きだったので、
好感のもてるシナリオでした。


御陵透子…
こちらは一風変わったキャラクターです。
彼女のシナリオに進まなければ、本編では少ししか登場しません。
しかしだからこそ、またべつの間隔が味わえました、


慧子…
隠しシナリオで登場する少女です。
ネタはあまりばらしたくはないので、深くは語りませんが、
全てのシナリオをクリアしてもやる価値はあると思いました。
カウントダウンで語られるシナリオは、
とても臨場感があり、心を投影しやすかったと思います。
また、このシナリオではサブキャラの
「タニシ青年」がよく登場していて良かったと思いました。
タニシ青年のキャラはサブキャラでありながらも、
その個性をいかんなく発揮していたと思います。

依子…
主人公の先生であり、研究者でもある年上の女性です。
ザブキャラではあるのですが、一応分岐があり、エンディングがあります。
ちょっととぼけた感じを漂わせます。
シナリオ自体は突然分岐して、
他のシナリオにくらべ特に濃くはないので、
心に残りにくいとは思いますが、
結構彼女の最後の一言が重くのしかかりました。
それはプレイしてのお楽しみということで。


全体的に、日常を過ごしている感じを共通のシナリオで見せながら、
個々のシナリオに分岐し、展開といったオーソドックスなタイプです。
やはり着目すべきは展開のシーンではないでしょうか。
少し難しく、理解出来るか出来ないか解らない程度の、
詩的な感じで読むとよいと思います。
文章の感じ等が肌に伝わるような巧い見せ方をしていました。


次にCGについて…
原画に「ゆうろ氏」を使い、とても柔らかい感じは出ていたのですが、
アニメ塗りのカラーが少しきつさを出してしまっていたように思いました。
個人的には好きな絵柄ではありましたが、
少々バランス的におかしな絵もあったかもしれません。
しかしキャラとしての魅力は十二分に出ていたと思います。
背景等はよく書き込まれていて、綺麗だと感じました。
またオープニングのムービーシーンでながれる絵は、
「ゆうろ氏」の絵が引き立つ塗りになっていた気がします。
イベントCGはともかくとして、他のシーン…
エンディングなどのシーンではとても絵の見せ方が巧いと感じました。
センスの良いゲームだと感じます。


次に音楽について…
このゲームでシナリオとともに語られるべきであるのが「音楽」です。
シナリオを引き立てるなど、とても重要な役割を果たしていました。
シナリオライターさんもお気に入りであると書かれた「そぞろ歩き」
「折戸神治」氏の作曲である「コズミック・ラン」
ピアノの曲等も綺麗でとても良かったと感じました。
それと、同じく注目すべきは「主題歌」
OPテーマである「sacred wards」
こちらは、明るめでテンポのゆったりした曲です。
サビに入る直前の、
「I will give you "sacred wards"」と言う言葉がなんか好きです。

EDテーマである「birthday eve」
いかにも「I've」って感じの曲です。まぁI'veなんですけどね…
曲調も好きですが、それ以上に歌詞が好きでした。
「もしも叶うなら 肉体と言うハードウェアからも 頚木解き放つよ」
と言うとこが良かったです、2番なんですけどね。


次はシステムについて。
まぁ言っちゃえば当り障りのないヴィジュアルアーツ形式のADVです。
回想モードはないけど、特に不満もありませんでした。
声が無いのは少し残念だけど、まぁこれはこれでと。
声がなきゃないで容量少なくてすむから好きです。


全体を通して、選好みはあるとは思いますが私は好きな作品でした。
好きか、嫌いかで結構ユーザーが分かれる作品かも。
シナリオが多少難しいので、ADV上級者向きかな…とか。
「ONE」やった人には是非「SENSE OFF」プレイして欲しいです。
別にグロいゲームとかでもないので、プレイする暇があるのなら、
一度はプレイして見て欲しい作品だと思います。

余談、SENSE OFFのドラマCDが発売されています。
2枚組だけど、一枚目はゲーム持ってる人なら必要無さすぎ。
2枚目のドラマの方は成瀬主体のシナリオでしたが結構良かったと思います。
また、主人公の難しい言葉の言いまわしもなんか好きでした。
「それが俺を規定してるんだ…」

余談2、otherwise2作目は「未来にキスを」です。
シナリオは「SENSE OFF」と同じ人で、原画はなんと「みさくらなんこつ」氏
「みさくらなんこつ」氏の絵のおかげでなんかネタゲーになってました。
悪くはないゲームでしたが、「SENSE OFF」に比べると多少見劣りするかも…
主題歌「kiss the future」は良かったです。特に2番が…


2003 10/29


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